青少年健全育成条例の改正に反対

子どもの性的搾取・虐待などを、子どもの権利侵害と認識しなければ、子どもたちを救済できない

本日、第4回定例会が終了しました。
生活者ネットワーク・みらいは「青少年の健全な育成に関する条例の一部を改正する条例」に反対しました。以下、討論から、皆さんにご報告いたします。

この条例案が会派に示されたのは、開会のわずか8日前の11月22日でした。この間、都は出版業界との協議もせず、青少年の意見を聞くこともしないまま、議会へ再提案とした姿勢は非常に問題があると言わざるを得ません。子どもの権利条約第12条では意見表明権を保障し、第13条では表現の自由が明記されていますが、都の対応は条例の対象である青少年の存在を大切にしたものとはいえません。
 今回、多くの漫画を愛好する青少年をはじめ、表現規制を危惧する人々などが全国からあらゆる情報媒体を使って声を寄せたことは、決して忘れてはいけないことだと思います。  
生活者ネットワーク・みらいは、子どもをめぐる性の暴力、児童ポルノに見られる性の商品化など子どもへの人権侵害は絶対に許されるものではないと考えます。過激な漫画を子どもたちの目に触れさせたくないという保護者の思いにも共感するものですが、そのためのルール作りと運用を行政の手にゆだねることには問題があると考えます。
 様々なツールを駆使する情報社会において、いかがわしいもの、悪しきものから完全に子どもを遠ざけることは不可能であり、今、子どもたちに真に必要なことは、悪質で俗悪な映像や出版物などを遠ざけ、隠すのでなく、目にしても、きちんと批判できるように、保護者、地域、学校が力を合わせ、性教育に取り組み、子どもの成長の後押しをすることです。
さらにいえば、女性を蔑視する発言を繰り返したり、セクシャルマイノリティを否定するような態度をとる政治家や社会的地位のある男性、それを大目に見ている大人達が作り上げている社会の在り方そのものが問題なのです。
 そもそも青少年健全育成条例は、1964年に制定されて以来すでに46年を経過し、制定された当時とは社会状況は大きく変わってきております。
 生活者ネットワーク・みらいは、つぎはぎだらけで時代の要請に応えなくなった青少年健全育成条例は、撤廃し、子どもの命と健康、尊厳を守る視点を大切にしたいと考え、子どもの権利条例を都に制定することを求めます。よって、青少年健全育成条例改正に反対します。

 今回の条例改正は、今年2月に都議会に提出されたものを修正したものであり、曖昧であると指摘された「非実在青少年」という言葉は消えたものの、表現規制についての曖昧さはまだ残っています。むしろ以前より規制する対象を広げており、見る側の規制ではなく、表現や創作を行う側や出版側への規制になる内容になっています。醜いマンガだけを指定できる明確な線引きはむずかしく、行きすぎを牽制するなら最小限のものにすべきです。また、仮に不健全図書として指定された場合、異議申し立てをできる制度がこの条例には明記されていないことも問題です。
 ひどい性描写を放置してよいとするものでは決してありません。子どもの性的搾取・虐待などを、子どもの権利侵害と認識することから始めなければ、子どもたちを救済することはできないのです。