東京都水道局の国際貢献ビジネス

都議会控え室にて・・討論に向け机が山のように
都議会控え室にて・・討論に向け机が山のように
 水ビジネスは100兆円の市場規模があるといわれ、世界各国の企業が乗り出しています。日本でも、「官民協働」という掛け声のもと、取組みがすすめられています。

 東京都水道局では、「国際貢献ビジネス」として、今年度からインド、インドネシア共和国、ベトナム社会主義共和国、マレーシア、モルディブ共和国に、東京水道国際貢献ミッション団を派遣し、「当面アジアを中心とした地域」に、「海外水道事業体のニーズや実状等を的確に把握するとともに、東京水道の技術・ノウハウをアピールして新たなニーズ掘り起こしを行う」ものです。

 このミッション団派遣とは別に、昨年5月、三菱商事、産業革新機構、日揮、マニラウォーターの4社が、英国ユナイテッドユーティリティーズ社のオーストラリア法人の株式を100%買収した際、水道局と東京水道サービス(東京都が資本金の51%を出資)がコンサルティング業務と技術支援を受託することになりました。

 水は、命を直接的にも、間接的にも支える重要な資源です。しかも、東京都水道局の技術やノウハウは、都民の税金の賜物であり、共有の財産です。猪瀬副知事は、テレビで「東京都が旗を立てるだけで、相手が信用してくれる」「民間企業が、相手で商売できるようになる」とおしゃっていましたが、東京都が民間企業のビジネス展開の旗頭をしていくことに、多くの都民が懐疑心をもつのはもっともなことです。

 都議会生活者ネットワーク・みらいは、食糧や水を営利の対象にすべきではないと考えます。水道局の技術やノウハウを活用して国際協力することにより、途上国の人たちの生活が改善されることは大いに賛同するものです。国際協力、国際貢献というならば、途上国において、地元の人たちが自立していけるようパートナーシップに基づいて支援をしていくべきです。こうした取組みは、タイムリーに、適切に、都民に説明していくこと、真の国際貢献の一環として関わっていくことが必要です。今後も「国際貢献ビジネス」の行方をきちんと見続けなければならないと考えます。