「オランダ型成熟・市民社会」から学ぶ②-リヒテルズ直子さん講演会から

~『祖国よ、安心と幸せの国となれ』 -参加し発言する市民~

 5月14日にリヒテルズ直子さんの講演の報告をしましたが、本日はその続きです。

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 講演の冒頭でリヒテルズさんは原発問題にふれ、福島原発事故は起こるべきして起こった戦後日本社会の帰結するところであったのではないかと前置きしました。
 1972年、オランダでは政府が発表した原子力推進政策は、戦後最大規模といわれる反原発運動によって阻まれ、34基の原発建設計画は全て白紙撤回されました。60~70年代は学生や知識人を中心に、「政治の行方を決めるのは自分たちだ!」と、市民自らが行動を起こしていった時代でした、と話す。
 そして、長引く不況・オランダ病を克服するために、政治、労働者、企業の3者が対等に話し合い短時間労働の正規就業化を実現。「同一価値労働・同一賃金待遇」などの政策(ワークシェアリング)を合意し、財政破綻を回避。パートとフルタイムの間に差別を設けないばかりか、生活に合わせて働き方を選択できる制度転換が行われました。

 さて日本ではどうかといえば、長引くデフレからの脱却を目指し、“アベノミクス”がもてはやされています。しかし、人々が求めているのは単に物理的・金銭的な豊かさではなく、男女ともに働き、子どもを育て、そして地域活動するという幸福感のもてる豊かな社会をめざすことではないでしょうか。オランダの社会で、働く当事者が社会の中心で動いているという事実は、日本でも時間はかかろうとも目指していきたいことだと思いました。

 この政治を動かす「オランダ型成熟・市民社会」は前回報告のオランダの教育があるからこそ実現できるものです。

初等中等教育に「民主的シチズンシップ教育」が義務化されています。
・意見は違うことがあります。
・誰でも自分の意見を持つ権利があります。
・自分の意見は変えることができます。
・私たちは、一人ひとりの意見を尊重します。
を伝えるための体感学習です。もちろん、教科書はありません。
現実社会の“今”が教科書そのものです。

このような教育が実践されて始めて社会が豊かになるのでしょうね。