今期最終の文教委員会「教育庁」にて

6月5日に文教委員会での今期最終の質問をしました。以下がその質問と答弁になります。ちょっと長いですが。 

○  都内公立学校における体罰の実態把握について
今回、東京都教育委員会は、部活動の顧問教諭から体罰を受けて生徒が自殺するという大阪市の高等学校で発生した痛ましい事件を契機として、都内の全公立学校において体罰の実態調査を実施した。そこで部活動等における体罰について伺う。

委員会で質問

Q1 今回の調査から、体罰が依然起きてしまう根本的な原因について、都はどのように考えるか。
A1 答弁案骨子(人事部長)
この度の体罰調査では、体罰を行った者から、その理由を聴き取ったところ、「感情的になってしまった」者や、「言葉でくり返し言っても伝えられなかった」者が約6割いた。これらの者は、体罰をしてはいけないと認識しながらも、感情のコントロールができず体罰に及んでしまったことが伺える。こうした者に対しては、言葉で伝える力や、高まった感情の抑え方、効果的な叱り方などを学ばせ、怒りや興奮をコントロールする指導技術を習得させる必要があると考える。その一方で、残りの4割の者は、「この程度は体罰と思っていなかった」など、体罰に対する認識が低く、体罰を指導の手段と考え正当化していることが伺える。こうした者に対しては、指導の意義やねらい、指導者の役割を再認識させ、指導に関する独善的な考え方を払拭させるなど、指導観そのものを改めさせる必要があると考える。

 Q2 5月23日の都教育委員会において報告が行われ議論されたと聞く。今回新しい教育委員も2名加わったこともあり、どのような議論があったのかうかがう。
A2 答弁案骨子(人事部長)
各教育委員からは、体罰の分類基準について、指導の範囲内として認められる行為が明確になり、現場の教員に安心感を持たせることにつながるとの意見。体罰防止のための研修について、感情のコントロールもスポーツ指導の一つであると指導者に理解させることや、従来の研修手法を改善することが必要であるとの意見。体罰の原因や背景について、区市町村教育委員会においても究明が行われるよう指導していくことや、体罰を行った教員の置かれている環境や学校以外での個人的な状況についても留意して分析することが必要であるとの意見、などがあった。
 Q3 体罰分類基準」は、今後、どのように使われていくのかうかがう。
A3 答弁案骨子(人事部長)
「体罰分類基準」は、今回の調査で報告のあった約  1,000件の事案について、何が体罰であるかどうかの分類をするために整理したものである。今後、部活動指導等の在り方検討委員会において、内容を更に精査し、体罰と指導の範囲を明確にしたガイドラインを示し、各学校において教員の指導に活用していく。

Q4 今後は進退の発達段階等を網羅したスポーツ医科学や、指導理論などの観点からも必要と考える。今回「部活動指導の在り方検討委員会」が設置されたが、その構成メンバーと取り組みについてうかがう。
A4 答弁案骨子(指導部長)
部活動指導等の在り方検討委員会は、教育庁教育監を委員長とし、スポーツ指導者、国際審判員、スポーツ法学専門家、弁護士、精神科医師、心理学者の学識経験者6人と、行政、学校やPTAの関係者11人、合計18人によって構成している。本検討委員会においては、8月を目途に、効果的な体罰防止プログラムの開発や、全顧問教諭を対象とした研修の実施等を柱とした総合的な対策を策定していく。

Q5 外部指導員の契約、協定、指導料等活用の実態が把握されていないと聞いた。子どもを指導する立場にある人材であるわけだから、把握し、学校の責任として協力を得る必要があると考えるが、都の見解をうかがう。
A5 答弁案骨子(指導部長)
この度の体罰調査委員会の調査によれば、一部の学校で、外部指導員に対する依頼や委嘱行為が不統一あるいは曖昧な状態にあることが明らかとなった。このため、今後、実態を把握した上で、学校と外部指導員の雇用関係や責任と権限等を明確にして、都立公立学校における体罰の実態把握。

意見:今回、東京都教育委員会の調査では、重大な事例として学校名等を公表。体罰を行った理由では、「期待に反する生徒の行動に直面した際の感情のコントロールができない」「身体で覚えさせることが最も効果的指導」などを挙げている。なぜ、懸命な指導、余裕がなくなるほどの指導になってしまうのか。学力重視、スポーツにおける強豪校になるなど、結果を出すことが目的化されてはいないか。また、成果をあげてきたベテランの教師や指導者には意見することができない、教師間で自由話し合いをすることができないなど、学校全体で見てみないふりをするような隠ぺい体質があるのではないか。オリンピックの柔道競技でも、指導者による暴力問題が表面化したように、優勝をめざすという名目で、スポーツの世界では、暴力や暴言が容認されてきた風土がある。今後、体罰防止プログラム、顧問教諭を対象とした研修、外部指導員管理等を行うとしているが、取り締まるだけでは体罰を防ぐことはできない。「子どもに、すぐに、結果を期待してならない」「暴力や暴言では向上しない」ことを指導者はしっかり理解し、コミュニケーションによる指導の向上、科学的医学的なスポーツ指導などの研修が必要。「子どもの最善の利益はなにか」「こども自身の育ちを応援する」という視点に立ち、東京都に「子どもの権利条例」の制定が改めて必要であると確信。