東京都の森林施策

日本の森林が危ない

 日本の森林率は67%。森林面積のうち4割以上が、戦後の木材需給のためにスギやヒノキなどを植林した人工林です。その人工林は、燃料革命や紙資源・建築材の安い外材使用などにより、放置され、荒廃の一途をたどっています。
 放置され細いままのスギやヒノキが密集している暗い林は「モヤシ林」と呼ばれ風で簡単に倒木し、病害虫にも弱く、下草が生えていないため保湿力がなく、少しの雨でも土砂崩れを起こします。環境の面からも災害の面からも大きな問題をもっていますが、打開策は手入れし、本来の姿に戻すことです。しかし、木材の利用が見込めない状況では人手の確保もままなりません。

 東京都の森林率は36%。そのほとんどが多摩地域にあり、うち6割が人工林です。
「東京都の森林施策」はどうなっているのでしょうか。

東京都の森林施策は「森づくり推進プラン」(2009年)が中心施策です。林産物の搬出、間伐などの作業、火災対策として、林道や作業道などの整備に取り組んでいるが、小規模所有者が多いため課題は多い現状です。森林再生事業として、所有者と協定を結び、地元市町村に間伐を委託、花粉発生源対策として、人工林の針広混合林化を図っています。激減する林業従事者対策には、労働環境改善、定着率の向上に努めています。
 多摩産材の利用拡大には、木材の使用量を年0.96万㎡(2004年度)から、2015年度には年3万㎡にし、公共施設の建設や増改築に率先して使用(年0.57万㎡)することとし、民間住宅の目標を1200棟(年2.43万㎡)としました。しかし、2007年度の使用量は0.79万㎡に留まりました。国も2010年10月、「公共建築物等木材利用促進法」を施行しており、今後進むことを期待したいと思います。また、提案公募を行い、モデルハウスや保育園の木製遊具、歩道の木製ベンチに助成しています。
 「東京の木・家づくり協議会」は多摩産材を50%以上使用する住宅建設に優遇融資する制度「とうきょうの森のいえ」を創設しました。これまで4件の実績があります。また、未利用の間伐材や製材端材を化石燃料の代替とする木質バイオマスを下水汚泥の焼却事業に活用。さらに、水道水源林の保全として2010年から概ね5年計画で民有林のモデル購入を開始しました。
 都は森林整備・保全、林業促進を多面的に行ってはいるが、予算は十分ではありません。