あなたを絶対見離さない。~大人は「いじめは許さない」という毅然とした態度で、子どもを守って行こう。

―東京都のいじめ緊急調査について

 東京都は、大津市の事件を受け、夏休み直前、都内の公立学校を対象にいじめの緊急調査を行いました。すでに、定期的に実態調査を継続している自治体もある中で、自治体との調整もないままの調査が行われたことは残念です。事件の深刻さを考えれば、緊急性は重要ですが、調査の内容や方法など、日常的に子どもに接している現場の先生や養護教諭、スクールカウンセラー等と事前に話し合うなど、ていねいに対応もあったら、良かったのではないかと思います。

今回の調査で、いじめやいじめの疑いのある事例が11507件も報告されました。東京都教育相談センターが行っているいじめ相談も、7,8月の相談件数は、昨年と比べ2倍以上あったということです。

これまで、学校は、「自分のクラス、自分の学校にはいじめはない」と、いじめの存在そのものを認めてきませんでした。いじめを認めることはその学校と教師の落度と考えられ、見て見ぬふりをする状況がありました。出世に響くから、学校の評価が下がるから、いじめはないことにしよう―。これでは、守られるべき子どもを救うことはできません。

「いじめはどこにでもある」という観点にたち、いじめを発見し、解決することを評価するような学校づくり、事務処理等に追われ、子どもにむきあう時間を失っている先生が、子どもと本気でしっかり向き合えるよう時間を確保するなど、改善の余地は多くあります。

子どもの声に耳を傾ける電話=チャイルドラインは、ヨーロッパで始まり、日本でも1998年から44都道府県で73の団体が活動しています。

いじめられる子どもはもちろん、いじめをしてしまう子どもにも寄り添っていけるよう、先生、養護教諭、スクールカウンセラー等と情報を共有し、教育、福祉、医療等関係機関とも連携し、早急に、教育への信頼を回復する取り組みが必要です。