ずさんな新国立競技場建設計画
今が見直し最後のチャンス
5月18日、突如として、下村文部科学大臣が、舛添知事に新国立競技場の建設について、建設費高騰や工期の遅れから、開閉式の屋根は2020年東京五輪が終了してからつくる、8万席の観客席の一部15000席を仮設とするという大幅な見直しを明らかにし、整備費の一部を都に負担してほしいと要望してきました。
この新国立競技場建設については、当初より市民団体や建築家等から、神宮外苑の環境や景観を壊す、費用的にも技術的にも無理があるなど批判が噴出。1964年東京五輪の国立競技場を改修して使い続ける代替案も提案されてきました。
しかし、国や日本スポーツ振興センターは、そうした意見を一顧だにせず計画を続行。解体工事を巡る入札のトラブルが相次ぎ、工期が大きく崩れ込んだまま、5月中旬に解体工事を終了しました。樹木を伐採し、解体が終わってからの計画変更、予算変更はあまりにずさんというほかありません。
東京都は、神宮外苑周辺を第1号風致地区と定め、樹林や景観を大切に守ってきたにもかかわらず、新国立競技場建設に先立ち、建ぺい率や高さ制限を大幅に緩和しました。生活者ネットワークは、オリンピックのためという名目で公共事業が進められ、これまで保たれてきた景観がなし崩しに壊されることに対し、かねてより反対してきました。
知事は、国に500億円の出資を求められていますが、こうした事態を招いた責任をしっかり追及するとともに、新国立競技場の現行案を白紙に戻し、開かれた議論で会場計画を再検討するよう、国に強く求めるべきと考えます。