災害時、乳児の命をつなぐ 液体ミルクを

液体ミルク

液体ミルク

離乳食を開始していない乳児の唯一命をつないでいるもの、ミルク。

母乳と粉ミルクがありますが、母乳はちょっとしたストレスや生活スタイルの変化によっても止まってしまったり、成長に追いついていけず不足したりしますので、母乳しか飲んでいなくても粉ミルクは常備しておく、というご家庭もかなり多いと思います。

また、乳児は病原菌に対する抗体はありませんから、ミルクを飲む場合、哺乳瓶の殺菌や、粉ミルクのサルモネラ菌などの除去のため70度以上のお湯で溶かす、などの注意が必要です。(このあと、清潔な水で哺乳瓶の外側から飲みやすい温度まで冷ますわけですが)

乳児をもつ親にとって、災害時の備えとしてミルクの確保は重大な問題です。東京都や市区町村は、乳幼児の粉ミルクと哺乳瓶を用意することになっていますが、お湯の手配はありません。

東日本大震災の避難所では、ストレスで母乳が止まってしまった母親や、お湯がないのに粉ミルクと哺乳瓶だけ配られ途方にくれたということが実際に起きました。そんな中、フィンランド在住の日本女性たちが、1万4千個の液体ミルクを被災地に送り喜ばれました。

液体ミルクとは、無菌状態で密封され、常温で保管が可能で、欧米では日常的に使われていると言われています。清潔な水が不足したり、お湯を沸かしたりできない被災時でも利用できるものですが、日本では乳児用ミルクは食品衛生法の省令で粉ミルクしか認められていないため、液体ミルクは製造・販売できません。しかし、2013年には日本周産期・新生児医学会/日本小児科学会などの連盟で災害時の液体ミルク緊急輸入のための整備を求める要望書も出されています。

液体ミルクの活動を進める女性と一緒に

液体ミルクの活動を進める女性と一緒に

熊本地震で避難したママたちから、ミルクを求めるSOSが出されています。実際に則して東京都として「災害時に液体ミルクが提供できる態勢」を整えるよう求めました。

最後に、今回の熊本地震で犠牲になられた方々にはお悼みを、まだ大きな揺れも続く中、不安を抱え避難されている方々にお見舞いを申し上げます。朝夕寒い季節ですので、皆様の健康をお祈りします。