日韓市民社会フォーラム2010「アジアの平和と日韓市民社会の役割~これまでの100年、これからの100年~」に参加して

「新宿区自治基本条例」素案は区民と議会、行政が対等な立場で議論〜新宿区議会の実験的な取り組み〜

 10月2日(土)3日(日)、日韓市民社会フォーラム2010「アジアの平和と日韓市民社会の役割~これまでの100年、これからの100年~」に参加しました。このフォーラムは、2002年、北東アジアの平和をすすめるには日本と韓国の市民社会がどのような役割を果たさなくてはならないかを議論する場として立ちあがりました。以来、毎年開催しており、今回私は分科会「市民自治と議会」に参加しました。

 2日の午前は、共住懇(外国人とともに住むまちづくりを考える)」の代表の方のご案内で大久保のまち歩きでした。
新宿区はおおよそ人口31万人。そのうちの11%35000人が外国人、そのうち12000人が韓国人です。20年以上前は、在日問題といえば、ごみや騒音、においなど生活になじめないことから起こるトラブル、海外から来た側の問題と考えられていました。しかし、近年は、定住者として、子育て、教育、老後など人の一生にかかわる問題として、ともに考えていかなくてはならない課題となったとのことです。こうしたことから、行政に任せるだけではなく、ともに暮らす市民の問題として、住民全体がかかわっていくことをすすめてきました。

 午後、新宿区役所において、9月議会に審議・成立した「新宿区自治基本条例」を題材にディスカッション。この条例は区民委員を募り、議会、行政の三者で構成された自治基本条例検討連絡会で合意した条例素案とほぼ同じ内容で提出されたものです。新宿区議会として、区民とともに条例案つくりに踏み出した取組みが評価されました。
①議会と区民の共同作業による条例素案の作成。区民検討会議の条例骨子案を尊重しつつ、対等な立場で議論。② サイレントマジョリテイを反映する努力。 住民基本台帳等から無作為抽出による1500名への区民討議会の参加依頼。同様に2500名への区民アンケート依頼。 
② 従来の与野党の枠組みを超え、議会としての合意形成を成し得た。 
等です。 

 地方自治体の議会は、積極的に政治に参加をする有権者から「議会が見えない」「議会不要論」が主張され、議会のあり方が問われる事態を招いています。新宿区では、議論を行い、最後には、関わった皆が納得できる形を目指したという姿勢が重要だと思いました。

 国立でも、2003年ころ、現在の国立市第4期基本構想第2次基本計画の策定過程で、市民が関わってきた経緯があります。市の要領に基づいてワーキンググループが設置され、いつでも誰でも参加できる話し合いの場として、シンポジウム、勉強会、意見交換をし、議論を重ねました。話し合いは80回以上。まちの長期的なビジョンをかかげ、子どもにも理解できるわかりやすい構成になっており、基本計画策定への提言書としてまとめられました。その後、紆余曲折を経て、有識者、議員、市民からなる審議会で審議され、基本構想が策定されました。
 私もワーキンググループ、審議会に携わりました。当時は市民参加に対する理解も得にくく、「市民」ということばに反発さえありました。市民参加、情報公開が当たり前のように言われていますが、形式的であったり、行政の下請けにならないよう、市民の自治するまちづくりがすすむよう、皆さんとともに頑張っていきたいと思います。